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男と女の間、その建前と本音をあぶり出すのはある絶対的な女の存在に思う。原節子か?高峰秀子か?古い日本映画ファンの永遠の課題ではあるが、私は高峰を推す。西洋的な女優の美よりもむしろ、演技の幅広く、丸顔で親しみやすく、それでいて子役から売れ続けた人も珍しい。彼女がどうにもならない男女の愛人関係=本音を演じた林芙美子原作「浮雲」そして、西部邁先生も好み、獅子文六が初めて舞台化させた岩下俊作原作「無法松の一生」を映画で観てみましょう。未亡人に片想いする車引の九州男は、まさに男の建前。
「やるせなき男」とあだ名された成瀬巳喜男監督の男女のどうにもならなさは勉強になる。また一方で稲垣浩監督はセルフリメイク、三船の愛らしさと男くささを見事に演出しています。この二作は知っておいて全く損はありません。
1955年のキネマ旬報ベスト・テン第1位。林芙美子の同名小説を映画化した成瀬巳喜男=高峰秀子の代表作で、世界の映画史に燦然と輝く名作中の名作。戦時中の占領地・インドシナで愛人関係にあった幸田ゆき子と農林技師の富岡。引き揚げ後も妻ある謙吾との縁が切れず、ゆき子は自活のため身を売る。小津安二郎の言葉「俺にできないシャシンは溝口の「祇園の姉妹」と成瀬の「浮雲」だ」はあまりに有名。(C)1955 東宝
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ヴェネチア国際映画祭でグランプリにあたる金獅子賞受賞作品。暴れん坊だが無垢の心を持つ天涯孤独の松五郎はある日、足を痛めた少年・敏雄を救う。それが縁で夫を失った親子と親密になっていく。敏雄を実の息子のようにかわいがり、未亡人の良子にはいつしか淡い恋心を抱くようになるが、時は流れていった…。稲垣浩監督が阪東妻三郎主演で製作した第一作のセルフリメイク。三船敏郎の魅力が光る作品。(C)1958 東宝
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